茶業界で使われる「蘭字」という言葉は中国語で「蘭」は「西洋」を「字」は「文字」を意味し、「西洋文字を使った絵票(ラベル)」ということです。輸出される茶箱はアンペラというムシロのような梱包材で包まれ、正面に薄い和紙で蘭字が貼られていました。茶という商品に、明治の頃に使用された洋式印刷の強い匂いのインクが嫌われたことで、蘭字は木版印刷の多色摺りでした。版の数は最低でも7版程度彫られ、版木に紙をのせて摺る作業には高度な知識と技術が必要だったといわれています。
「蘭字」が保存されている見本帖の裏表紙には、山口堂の名前、6人の摺師と彫師1人の名前が刻まれています。 当時、外国商館の主導で制作されていることが多かった「蘭字」を国内の印刷会社が制作していた見本であることが 平成8年に開かれた埼玉県の入間市博物館における「日本の近代グラフィックデザインの夜明け」特別展において評価されました。
四日市における伊勢茶以外にも埼玉県の狭山茶、静岡県清水市の静岡茶など、それぞれの産地に蘭字が残されています。